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ネット断食

近所の歩道を歩いていたら、片手でスマートフォンを見ながら自転車に乗った若い女性とすれ違った。夕暮れのことで、おまけに無灯火だったので薄闇の中でスマホの明かりが彼女の顔をボーと照らしていた。実に危険極まりない。本人にも歩行者にとっても。
歩きながらスマホを使う「歩きスマホ」や、食事しながらの「食事スマホ」は今ではごく普通の光景になったが、スマホの画面を眺めながら自転車を片手運転する「自転車スマホ」が現れたのには驚いた。

スマホやアイパッドなどのデジタル機器、メール、ネットなどからいっときも離れられず、四六時中何かと繋がっていないと精神的に不安定になるデジタル中毒人間が増えているという。アメリカの某IT雑誌には「スマートフォンを持つアメリカ人の35%は朝顔を洗うよりも先にアプリを起動している」という記事があった。こうした重篤なデジタル依存症は一部のマニアだけの問題ではなく社会問題化してきているようで、書店の棚には「脱ネット・スマホ中毒」「親子で読むケータイ依存脱出法」といった本が並んでいる。心理学の専門家は、デジタル機器やメール、ネットの過剰な利用が精神疾患の様々な症状や兆候を生み出すと警告している。驚いたのはあのスティーブ・ジョブズが彼の子供にデジタル機器の使用を厳しく制限していたことだ。アイフォンやアイパッドを生み出した教祖もデジタル依存が子どもの精神に与える弊害に気づいていたのである。

過度な使用を制限すればすむことだが、実行するのはそれほど簡単ではない。強制的にデジタル機器から切り離された人間はたいてい禁断症状を起こすからだ。物心ついた頃からケータイやネットに囲まれて育ったデジタル・ネイティブの若者たちの禁断症状は特に苦痛だろうし、仲間はずれになる可能性も無視できない。

だがしかし、困難であっても結局は使用を制限するしかこの問題の解決方法はないのである。
正直な所、わたし自身も仕事柄一日中PCに向かっていることが多く、PCのヘビーユーザーの一人である。朝起きるとすぐPCの電源を入れ、メールをチェックし、ネット新聞を読み、Twitterを開くのが習慣になっているので他人ごとではない。1時間毎の「アラーム」をセットして自分に注意を呼びかけているが、それでもつい仕事の手をとめてネットに向かいがちだ。なんとか禁断症状に耐えて「ネット断食」を成功させなければと思っている。まずは、手始めにTwitterの投稿と閲覧時間を減らそうと思う。

by tsuigei | 2014-12-07 12:12 | COLUM

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