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小沢裁判:4億円の不記載と「期ズレ」(図解)

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マスコミは「ウソの記載」と報道しているが、ウソの記載をどれだけの人が正確に認識しているだろうか。
ウソの記載の具体的な中身は、

1)4億円の不記載
2)いわゆる「期ズレ」
のふたつである。

以下、「4億円の不記載」と「期ズレ」について図を参照しながら解説していきたい。

図1のポイントは、小澤一郎が認識していた4億円の流れと、石川が実際に動かした4億円の流れがはっきりと異なっている点にある。青い矢印が石川が実際に動かした金の流れで、オレンジ破線の矢印が小澤と石川が事前に合意していた流れである。
この図からわかることは、小澤は石川が実行した金の動きそのものを知らなかった可能性があることである。大善判決もその点を認めて無罪を言い渡したのである。つまり小澤が知らなかったのは4億円の「違法性」ではなく「事実関係」(4億円の動きそのもの)だと判断されたのである。小澤は石川が自分と合意した流れで4億円を処理したと考えていたのだから、違法性を知らなかったのではなく、違法性は無いと考えていたのである。少なくとも大善裁判長はその可能性を認めて共謀を退けたのである。

だが、マスコミは、小澤に違法性の認識がなかったから無罪、との解釈で報道した。「ビデオニュース・ドットコム」の神保哲生氏も次のようにコメントしている。
「小沢氏がその違法性や細かい事実関係を把握していなかった可能性があるとの理由から無罪判決を下しているが、これでは犯罪行為を行ったものが、「違法とは知らなかった」と主張し、それが通れば、どんな犯罪でも無罪となってしまう可能性がある。」
しかしその後、郷原信郎氏の指摘を受けて神保氏は事実認識を改めてコメントを訂正している。(マスコミは訂正していない。)

また郷原氏は、「法の不知は故意を阻却しません。」という、同様の誤解に基づいたリツイートに対してツイッターで次のようにコメントを返している。
「今回の判決の無罪理由は、マスコミが報じているような”違法性の認識”の問題ではなく、収支報告書の虚偽性という事実の認識の問題だと言っているに、まだ理解されていないのが残念ですね。」

郷原氏の指摘が正しい。しかし、私は郷原氏のようにこの大善判決を高く評価はしない。判決文が検察に厳しい内容だとも思わない。その理由については今日のテーマから外れるので別の場所で論じることにしたい。ただ、09年3月3日に大久保第一秘書が逮捕されてからというもの、マスコミによる雪崩のような小澤バッシングが続いて、多くの人が「小澤一郎=黒」の認識を刷り込まれた状況で、「違法性」と「事実性」の違いという微妙で専門的な郷原氏の指摘が広く理解されるとはとうてい思えないとだけ言っておきたい。
この判決内容では、いくら刑事裁判では「グレーな無罪」というものは無いと叫んでも、「グレーな無罪」という重荷が小澤の肩から降ろされることはないだろう。その主な原因はマスコミによる小澤への長期にわたるネガティブキャンペーンにあるが、大善判決がグレーな印象を与える内容であることの影響も大きいのである。

この図のポイントは時間差である。土地売買の決済日の04年10月29日における石川知裕の行動を午前と午後に分けて示している。実線の青が午前の金の動き、破線が午後の動きである。

決済は午前10頃に行われた。
陸山会の口座から石川が土地の売主(東洋アレックス)に約3億3000万円を振り込んだ。この送金が「フライイング」となって、4億円の不記載の理由となったのである。
小澤との合意では、まずりそな銀行に小澤名義の4億の定期預金を開設して、その後りそなから定期預金を担保に4億円の融資を受ける手はずになっていた。小澤がりそな融資4億円を陸山会に転貸した金で土地代金を支払っていれば、小澤が石川に渡した現金4億円は「預り金」となって収支報告書に記載する必要はなく、4億円の不記載は生じなかったのである。
だが石川は午前中に必要な融資書類が揃えられず、小澤の署名と押印ができなかったため、決済の約束の時間までにりそな融資4億円を予定どおり入金できず、小沢現金4億を混入させた陸山会の口座から送金してしまったのである。
午前に決済をすませた石川は、午後になってようやくりそなに定期預金を開設して、当初予定した4億円の融資を受けることができたのだった(図の青の破線矢印。しかし小澤名義の定期預金でなく、陸山会名義になっている点は当初の小澤との合意と異なっている)。

いずれにしても、第三者からすれば笑ってしまうような「時間差ミス」に過ぎない。「図1」と「図2」を見ればわかるように、小澤の4億円が陸山会の口座の範囲で移動しただけで、登石裁判長が推認した水谷建設からの裏献金は影も形もない。大善判決は水谷建設からの裏献金を認定せず、4億円の原資は不問としているのである。
検察は、石川のささいな不手際を無理やりほじくり出した上、マスコミを使って国民の反小沢感情を煽り、石川らを任意の取調べもなく突然逮捕し、検察審査会を誘導して小澤を起訴させたのある。

図3は、「期ズレ」が生じたとされる経緯を図示している。縦軸が時間の流れである。
実は煩雑になるので図では省略しているが、04年10月29日の決済日に、石川知裕と土地の売主である東洋アレックスの間で「合意書」が交わされている。10月29日は仮登記にとどめ、本登記は翌年1月7日とする合意である。1月7日の登記なら04年ではなく、05年の収支報告書に記載すればよいとの判断で、これは石川が司法書士からのアドバイスにしたがったものである。大善判決はこれを認めなかったが、会計学の大家である弥永真生氏も司法書士の判断と同様の証言をしているので石川の判断ミスとは言えない。

陸山会は権利能力なき社団なので、土地の売買や所有はできても登録はできないことになっている。従って10月29日の決済は小澤個人の名義で行われた。1月7日の本登記の名義も同様である。「小澤」(政治家小澤個人)と「小沢」(陸山会代表としての小沢一郎)をわざわざ使い分けているのは、政治団体である陸山会がこの権利能力なき社団だからである。
登記を済ませた同日、小澤名義の土地を陸山会の所有にするための合意が「確認書」という形で交わされた。小澤個人が勝手に土地を売買したり担保に入れたりすることを禁止し、陸山会が排他的使用権を持つという内容である。この確認書の交付で土地が事実上陸山会所有になった時点で陸山会は土地を資産計上し、収支報告書に記載したのである。


さて、説明は以上である。
こんな無味乾燥な金の流れの話をここまで読んでくれた人がどれだけいるのかはなはだ疑問である。なぜなら、中身が無いからである。いったい何を証明するために長々と書いてきたのか、自分でも無意味に思えて徒労感がつのるというのが正直な感想である。

「4億円不記載」や「期ズレ」は、100歩譲っても陸山会の会計担当者のちょっとしたミスにすぎない形式犯である。そんな屁のようなことに東京地検特捜部は総力を挙げて捜査し30億円もの税金を浪費した。不起訴が確定した後になっても検事はウソの報告書まで作成して検察審査会を起訴議決に誘導した。

なぜ検察がそのような暴挙におよんだかは、小澤一郎の「最終意見」が端的に指摘している。

「本件は、ただ単に検察が私個人に対して捜査権・公訴権という国家権力を乱用したということではない。野党第一党の代表である私を強制捜査することで政権交代を阻止しようとし、政権交代後は与党幹部である私を強制捜査・強制起訴することで新政権を挫折させようとした、その政治性に本質がある。」

今なお指定弁護士が控訴するかどうかで騒いでいる状況である。常軌を逸した彼らの行為こそ犯罪だと言っても過言ではあるまい。


今回の小沢裁判で検察は立ち直れないほどの深手を負ったが、「検察+マスコミ=官報複合体」と批判されてきたマスコミはどうだったか。検察への批判が高まり、小澤の無罪が濃厚になってくるとマスコミは手のひらを返して小澤に擦り寄るようなインタビューを申し込む厚顔さを示した。こずるく豹変するマスコミはテフロンようのうにキズに強い。だが諸悪の根源は間違いなくマスコミである。特捜部の一部が功名にはやって暴走したとしても、もしジャーナリズムが正常に機能していれば、今回のカタストロフを招くことはなかったのである。3年もの長期にわたって小澤の「人物破壊」(ウォルフレン)に狂奔して政治の停滞を招いたマスコミの責任を問わないわけにはいかない。

最後になったが一言触れておきたい。
石川知裕、大久保隆規、池田光智は、司法の常識を逸脱した登石郁朗裁判長の「推認判決」で有罪とされた。
大物政治家小沢一郎の陰に隠れるかたちになっているが、彼らは禁固1~3年(執行猶予付き)を言い渡されて控訴中である。犯罪事実にはありもしない水谷建設からの裏献金も含まれている。彼らの救済も喫緊の課題である。




# by tsuigei | 2012-05-07 09:50 | 小沢一郎 | Trackback

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