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2045年の未来



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「2045年問題」という言葉をどこかで耳にされたことがあると思う。
科学者たちが提唱している説で、このままのスピードで進化すると2045年にコンピュータ(人工知能)が人類の知能を上回るという未来予測である。コンピュータが人間の知能を上回った未来社会で人類に何が起こるのか? SF映画や小説の世界では高度に発達したコンピュータが人間に反乱を企て、人類対コンピュータの一大決戦になる物語が定番だが、それはあくまでフィクションである。2045年問題は科学者や識者たちが真面目に議論している今から30年後の現実味のある未来である。

科学者たちが予測する2045年の未来を一言で言うと、コンピュータによって我々の仕事が奪われてしまう世界である。それだけの話なら改めて警告されなくとも、産業革命時代に工場労働者たちが新しく登場した機械を破壊した「ラッダイト運動」にまで遡る古くて新しい問題でしかない。この種の問題では、コンピュータに出来ない知的な仕事に職業をシフトさせる解決策が提示されてきた。しかし2045年問題の示す未来はもっと深刻である。識者たちが予想する未来は、知的な仕事も含めてすべての職業がコンピュータに奪われてしまい、人間に残された仕事はいっさい無くなるという過激で絶望的な未来なのである。
もちろんコンピュータにできない仕事は2045年になっても残るだろう。しかしその仕事がコンピュータの“落穂ひろい”のような仕事になってしまったのでは意味が無い。やりがいがあり生きがいとなる仕事がどれだけ人間に残されるかが問題である。

「2045年問題」の突きつける未来はずいぶん極端ではないかと感じる。だが、実際それを裏付けるかのように、今現在も知的な仕事がコンピュータに取って代わられつつある。例えばニューヨークのある癌センターでは、それぞれの患者にあわせた最適な医療計画をコンピュータ・プログラムで作成することに成功した。最も専門的な領域である医療行為の一角がコンピュータに奪われてしまったのである。法律の分野でも、コンピュータが1日で何十万件もの弁論趣意書や判例を分析・分類できるようになり、これまでその職にあった契約書専門、特許専門の弁護士たちが仕事を失う事態を招いているという。コンピュータが人間の知能を超えた時、予想通り人間からすべての仕事が奪われてしまうのか、それとも2045年を分水嶺として、これまでの想像を超えた素晴らしい新世界が始まるのか、いずれにせよスリリングな未来である。

と、ここまで書いてきたが、誰もがすぐ想像するのは、仕事はロボットにまかせて人間は好きなことだけして楽しく愉快に暮らす未来である。だがその考えは甘いと言わざるをえない。どんな未来になるかを決めるのは、人間の知能を超えた未来のコンピュータではなく、そのコンピュータを所有する者(たぶん資本家や投資家)だからだ。
コンピュータ制御のロボットが骨折り仕事をすべて引き受け、人間は働かなくてもよい時代が来るなら、それはバラ色の未来と呼んでもいいだろう。だが、そのロボットを支配して儲けようと考える人間がいなくなることは考えられない。とすると、2045年がどんな未来になるかは、たぶん政治しだいということになるのかもしれない。つまり、それが意味するのは暗黒の未来である(少なくとも日本の政治の現状から予測するかぎり、持つものがさらに持ち、持たざるものはさらに持てなくなる究極の格差社会=ディストピアしか考えられない)。あるいはバラ色の未来が到来するのかもしれないが、そのシナリオを思いつかない。とても残念だが。





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# by tsuigei | 2015-03-29 19:05